第21回サイエンスカフェ@ふくおか 活動報告

みんなと”心理学”をつなぐ第21回サイエンスカフェ@ふくおかを開催しました!

 

第21回ポスター

 

 第21回を迎えた今回のサイエンスカフェ@ふくおかのテーマは、「人体の謎に迫る!〜心の中へ探検、心の謎に迫る!〜」でした!人の心は意外と信用出来ない?占いや血液型診断に隠された秘密とは…?人の心のナゾに心理学で切り込んでいこう!

 

今回も会場はBIZCOLIさん!…ですが、予約多数のため急遽より広い会議室となりました!

みなさんご来場ありがとうございます!!

 

 今回講師にお迎えしたのは、九州大学 芸術工学研究院及び高等研究院の妹尾武治博士!軽妙に人の心を引きつける話し方で、「さすが心理学を心得ているだけはあるなあ!」と感動しました。先生が話される目からうろこの心理学話にみなさん魅了されっぱなしでした!

今回の講師 妹尾博士(左)と聞き手の素粒子実験研究室 吉岡博士(右)

妹尾武治博士のプロフィール

千葉県出身。なぜこんなにもモテないのか?悲嘆と怒りに満ちた日々を過ごして来た心理学者。モテ・非モテをはじめとした人間の心に対して、人一倍興味を持ちながら暗黒の青春期を過ごす。大学で心理学に出会い、人の心を専門的に調べ始め、気がつくと博士課程を終える(東京大学大学院心理学研究室を修了)。2008年より福岡で研究員になり、福岡が心のふるさとになる。福岡万歳!!!人の心は本当に不思議で、その魅力に異常に取り憑かれている、おじさん。博士(心理学)。

 

人間は思い込む生き物だ!

 

 あなたは抽象的に物事を考えることができるタイプですか?誰かに騙されそうになったとき、論理的に思考しておかしい点に気付くことが出来ますか?

 こう尋ねられると大抵の人は、「いや、そこまで完璧人間では…」と思ってしまうかもしれません。でも、少なからずの人が「さすがに詐欺になんか引っかからないよ」とも思っているはずです。そう、「自分は少しぐらいは抽象的・論理的に思考できる人間だ」と思っていますよね?いいでしょう。では、少しテストしてみましょう!!

 

 この問題、みなさん解けますか?

 もちろん全部裏返して確かめれば規則が正しいかは分かります。でも、ひっくり返す回数は可能な限り少なくしてください。さあ、どのカードをひっくり返せば規則の正しさを確かめられるでしょうか?

 

 

 

 

 

 難しいですよね。。

 

 

 

 

 

分かりました?

解答を発表しますよ。

 

 

 

 

 

 

 

 準備はいいですか?

 

 

 

 

 

 

 

 では、解答を…

正解は、「”D”と”7”のカードの2枚をめくる」です。

 

 どうだったでしょうか?みなさん正解でしたか?少々長いですが確認していきましょう。

 

 まず、”D”のカード、これは間違いなく確かめないとダメですよね。もしこの”D”のカードの裏が”5”だったりしたら、「Dの裏は必ず3」という規則を破っています。これは規則が正しいのか、つまり規則の確証を得るための操作です。これはみなさんわかったのではないでしょうか?

 もう一枚めくるべきは”7”のカード。このカードの裏がもしも”D”だったら、これまた「Dの裏は必ず3」という規則を破ることになるのでやはり確かめなくてはなりません。これは規則と違った例がないか、つまり規則の反証を得るための操作です。

 残りの”K”と”3”のカードはどうでしょうか?例えば、”K”のカードの裏がどんな数字であろうと規則を破ることにはなりません。同様に、”3”のカードの裏がどんなアルファベットであろうと規則を破ることにはなりません。「Dの裏は必ず3」でなくてはいけないだけで、例えば「3の裏がSだった」としても規則に反していませんし、”K”の裏が1だろうと2だろうと3だろうと規則には関係ないわけです。

 

 納得いただけましたか?

 会場でこの問題を実施したところ、ほとんどの方が間違った解答をしていました。でもこれ、仕方ないことなんです。人間はこういった抽象的な思考や論理的な思考が大の苦手なんです。天才物理学者だろうと平凡な学生だろうと、上の問題の正答率はほとんど変わりません。”論理的に考えることが出来ず、自分が正しいと信じるものにこだわり続ける人間の思考の特徴”のことを、「確証バイアス」と呼ぶんだそうです。

 この確証バイアスによって、私たちはいとも簡単に詐欺や根拠の無い迷信に騙されてしまうのです!!

  

俺は今最高にノッてる!!・・・本当に?

 

 確証バイアスは厄介なやつです。油断しているとすぐに私たちの思考を非論理的なものに捻じ曲げてしまいます。そんなことはないって?では、みなさん、「波にのる」って現象を信じていませんか?

 あるバッターが3打席連続ヒットを放ったり、ギャンブルで勝ちが続いたり、良い結果が繰り返し生じるとよく、「今波にのってるなあ」と言いますよね。波にのっているときは、成功する確率が格段に上がると感じます。特に根拠はないけど、間違いない事実として「波にのる」ということがあると多くの人が思っています。

 この「波にのる」が本当なのか確かめるため、アメリカの心理学者ギロビッチ博士がある実験を行いました。アメリカバスケットボールのプロリーグNBLのフィラデルフィア・セブンティシクサーズの1980-81年の全ショットの記録を解析し、ショットの連続成功の確率を計算したのです。連続でショットが成功している状態、つまり「のっている状態」のとき、その次のショットが成功する確率はどうなるか?結果はこうなりました。

 

 見てのとおり、何度連続で成功してようと次のシュートが成功する確率は大して変動しません。むしろ失敗が続いた時のほうが成功する確率が高いぐらいです。つまり、波にのる」というのはありえないことなんです。

 人の心理の傾向として、「偶然のことを必然だと見誤る」「必然のことを偶然だと見誤る」というものがあります。上の例以外にも、例えば「コイン投げを6回行なったら、6回連続で表が出た」とすると、多くの人が「これはトンデモナイ偶然だ!」と思うでしょう。でも、実際には6回の試行の取りうる表裏の組み合わせはすべて同じ確率で起きます。つまり、「6回連続表」は普通に起こりうることなんです。「6回連続表はありえない」という確証バイアスが論理的な思考を乱してしまうのです。

 

 血液型診断も占いも様々な迷信も、どれも人の思い込みを巧みに利用してまるで本当のことのように見せかけているんですね。カフェでは他にも、マーフィーの法則や対人関係における心理学など様々なトピックで盛り上がりました。

 今回のカフェで使用されたスライドは妹尾先生のHPにて公開されていますので、ご興味がある方はどうぞ見てみてください!→「誤信の心理学」

 

心理学を語らう!

 

 今回のカフェはこれまででも最大級の参加者数でした!やっぱり心理学への関心は高いんですねー!講義のあとはみなさん熱心に妹尾先生に質問されていました!

 

 妹尾先生、10月に書籍を出版するそうです!

「脳がシビれる心理学 -ココロと脳はどこまでわかったか?-」

妹尾武治著 実業之日本社

 

 タイトルからして面白そうですね!発売が待ち遠しい!

 

次回のカフェは?

 

 次回のカフェ、テーマは「究極のエコカー!?水素燃料電池自動車に迫る〜水素の力で環境・エネルギー問題に立ち向かう〜」です!

 未来の燃料、水素エネルギー!一体どうやって水素からエネルギーを生み出すのでしょうか?カフェ2度目の女性研究者、九州大学水素エネルギー国際研究センターの林 灯博士をお招きしてエコエネルギーの謎に迫ります!!

 

 詳細はこちらから!

 みなさまのご参加、お待ちしております!!

(古浦)