“PM2.5の謎に迫る!”
第80回サイエンスカフェ@ふくおかを開催いたしました。
第80回のサイエンスカフェのテーマは
「PM2.5の謎に迫る!」
~気候変動と大気汚染の深い関係~
最近よく聞くようになったPM2.5
春先は花粉症との相乗問題から気にされている方も多いのではないでしょうか
そんな厄介者のPM2.5ですが、
地球温暖化に対して意外な効果があるのをご存じでしょうか。
そんな大気汚染と気候変動の複雑な関係についてお話しいただきました。
新型コロナウィルス感染拡大防止のため、
今回もBIZCOLIさんのZoomを用いての開催となりました。
今回の講師は
九州大学 応用力学研究所 気候変動科学分野
竹村 俊彦 教授 です!
福島生まれ。幼少期は埼玉、思春期は三重(高校は愛知へ通学)、大学は宮城、大学院は東京、そして縁もゆかりもなかった福岡に最も長く住むことに。アメリカも1年経験しました。
Yahooニュース個人に一般向け記事を時々書いています。
参加者、スタッフの皆様
最上段の左から3番目が竹村 俊彦 先生です。
PM2.5って何?
現在問題となっている大気汚染物質は、光化学オキシダントとPM2.5の2つに分けられます。PM2.5はその名の通り、2.5μm以下の粒子のことを指しますが、実際は0.数μmの大きさの粒子が中心です。粒子が小さく、呼吸器だけでなく循環器系まで影響を及ぼすため危険視されています。
気候変動
太陽から地球に入ってくるエネルギーと地球から宇宙に出ていくエネルギーのバランス、この結果が気温の変動であり、現在は0.数%ずれているので温暖化が進んでいます。
日本の真夏日、猛暑日や熱帯夜、集中豪雨の発生回数は年々増加しており、パリ協定を守らない場合、これから顕著に増加すると予想されています。
PM2.5と気候変動の関係
一見関係がないように見えるPM2.5と気候変動ですが、実はPM2.5(エアロゾル)には、前述の太陽や地球からのエネルギーを散乱・吸収したり、雲(雲粒)が出来るための核としての役割を果たしたりしています。これらの効果を全て合わせると、全体として温室効果を下げる働きをしています。
未来に向けて
PM2.5には大気汚染という側面と、温室効果を下げる側面がありました。このため大気汚染だけ対策を進めると、却って温暖化が進行してしまうことになります。これからは大気汚染対策、温暖化対策を並行して進めることが重要になります。
またタイムリーなことに、8月9日に国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書が公開されました。温暖化は待ったなしの状況であり、化石燃料を使用しないなど抜本的な対策が求められています。