第68回サイエンスカフェ@ふくおか 活動報告

"透視はもはや超能力ではない!?

第67回サイエンスカフェ@ふくおかを開催いたしました!

サイエンスカフェ 第68回のテーマは

透視はもはや超能力ではない!?

~地球上のどこでもなんでも・なんでも投資する技術:ミュオグラフィ~

空から降り注ぐミュオンという粒子を使った面白い研究についてお話しして頂きました!

第68回ポスター

 

今回もBIZCOLIさんの素敵な空間をお借りしての開催となりました!

いつもありがとうございます!

今回もたくさんの方が熱心に参加されていました。

スタッフ冥利に尽きますね!

 

 

 

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今回の講師は、

 

九州大学大学院総合理工学研究院エネルギー科学部門

 

金 政浩 准教授 です!

経歴:九州大学大学院工学府で学位を修めた後、日本原子力研究開発機構で博士研究員     として大型放射線検出器の開発に勤しまれました。そして九州大学大学院総合理工学府    に着任してからは、もっぱら放射線計測学の分野で研究活動を行なっておられます。

 

人となり:好奇心が旺盛だそうで、その性格が研究に活かされ、放射線計測に関わることなら      なんでも興味を持って取り組んでおられます。最近は放射線計測分野に機械学習を      取り組むことを熱心に行なっているそうです。

 

先端素粒子物理研究センター 総合理工学研究院エネルギー科学部門 素粒子実験研究室博士課程  

    吉岡 瑞樹 准教授、     金 政浩 准教授 (講師)、        中居 勇樹 様 (司会)

 

 

第一部

 第一部では、「ミュオグラフィ」という実験技術を説明するために、まずはその歴史のお話しから。そしてミュオグラフィに用いる宇宙線についての簡単なお話し。最後にミュオグラフィの原理とその応用についてお話しして頂きました。今回のお話の要点を以下にまとめました。

 

~放射線の歴史~
  1. 最初の放射線                                最初に見つかった放射線をご存知ですか?それはレントゲン博士が1895年に発見したX線です。骨の検診をするため、皆さんも利用したことがあると思われます。                                                       
  2. 宇宙線の発見                                    その後は物理学者により様々な放射線が発見されました。我々の地球にも常に放射線が降り注いでいることがわかっていましたが、どこから降り注いでいるかは不明瞭でした。それを発見したのはヴィクトール・フランツ・ヘスです。ヘスらは気球に乗って高度と放射線の強さの関係を測定し、上空に行くほど放射線強度が増加することを見出して、放射線が宇宙起源であることを示しました。1912年、約百年前に宇宙線は初めて発見されました。                                
  3. ミュオグラフィの登場                           それから約50年後の1967年、ルイス・ウォルター・アルヴァレズによって、初めてミュオグラフィの実験が、カフラー王のピラミッドに対して行われました。しかし、この透視実験による結果は「新たな部屋などは何もなかった」というものでこの実験は一旦頓挫することになります。                                                            
  4. ミュオグラフィ最盛                           2006年、火山の内部活動を調べるために、日本でミュオグラフィの研究が盛んになり始めました。そして現在に到るまで、活気を取り戻したミュオグラフィ実験は様々な透視実験を行うようになりました。

~宇宙線とは~

宇宙線とはその名の通り、宇宙から降り注いでくる放射線のことです。

  1. 宇宙線の発生源                              宇宙線の期限はは二つあります。一つは太陽系外から超新星爆発などによって加速されて飛んできた「銀河宇宙線」、もう一つは太陽風や太陽フレア粒子などの「太陽宇宙線」です。                               
  2. 宇宙線の種類                               宇宙に存在するものを一次宇宙線(殆どが陽子)、大気中の窒素や酸素と相互作用し生成されるものを二次宇宙線と言います。                    
  3. ミュオンの正体                               ミュオンは、銀河宇宙線が大気に突入し二次宇宙線になる際に生成されます。太陽宇宙線はエネルギーが低く、二次宇宙線になる際エネルギー的にミュオンになることはできません。質量以外は電子と同じ組成をしています(先ほどの話通りミュオンは重い)。特徴は2.2 μsの寿命と非常に高い透過能力を持っていることで、1秒間に掌一個分の面積に1つ降る割合程度で、頻繁に降り注がれています。

~ミュオグラフィの原理~

ミュオグラフィは上の話からわかるように、透過してくるミュオンを検出することで、内部構造の違いを測る実験のことをいいます。ミュオンは密度が大きい場所を透過する際、エネルギーを落としながら進みます。なので、何もない場所を通るミュオンほど、高エネルギーで検出されます。また二次元情報と時間情報を得るために、検出器を二つ以上並べて飛跡をたどるようにしています。このミュオンのエネルギーマップを二次元に検出することで、例えばピラミッドの内部のどこの位置に部屋があるかなどがわかるようになります。

 

~ミュオグラフィでできること~

ピラミッド、火山、地球内部の情報以外にも、例えば核の密輸検査を行うこともできます。原子番号が大きいプルトニウムなどの核は重たいのでミュオンは反応を起こせるからです。

また小判の組成を調査した実績もあります。これによると、ある時期は全て金でできていたのに、ある時期は銀が混ぜられた金メッキ状態であったことがわかりました。その時期が財政難だったことが伺えますね。このようにミュオグラフィは様々な用途があるだろうということが伺えます。非破壊検査ほど素晴らしい技術はないと思います。

 

 

第二部

第二部では、金先生のこれまでの研究や、これからの研究、また宇宙の話などみなさんが気になることを質問する時間となりました。多趣味な金さんはどんな質問でも面白おかしく、皆さんの知的好奇心をくすぐる素敵な時間を形成されていました。

 

座談会の様子

 

第69回 サイエンスカフェは、

 

光の可能性に迫る!

 

九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所

高橋 幸奈 准教授 

 

を講師にお迎えして、

微粒子を使った色と光とエネルギーを

自在に操るための最新の技術ついてお話ししいただきます。

  

2019年9月6日(金) 19:00〜21:00

BIZCOLI 交流ラウンジにてお待ちしております!!