みんなと"狩猟"をつなぐ第39回サイエンスカフェ@ふくおかを開催いたしました!
第39回ポスター
サイエンスカフェ@ふくおか、第39回目のテーマは
「野生動物との共存に迫る!~狩猟を通して考える、人と野生動物の関係~」
今回は「狩猟」の視点から「野生鳥獣問題」に迫りました!
大雨でお足元の悪い中、多くの方が会場に足を運んで下さいました。
ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。
今回の講師は、九州大学基幹教育院の安田 章人 准教授!!
サイエンスカフェ@ふくおか初!
お客様からのご要望で、終了時刻の21時ぎりぎりまでトークしていただきました!
(左)講師の安田准教授 (中央)司会の吉岡准教授 (右)BIZCOLI館長の八尋さん
安田 章人博士のプロフィール
関西に生まれ、自然と動物を「愛し」て生きること、34年。「動物を護りたい!」と志し、理系に進もうと思うも、「護るとは、なにか?」という問いに出会い、文系へ。頭よりも足で考えることが好き。そのせいで、北海道からアフリカまで。そして、いつしか、「九大ジビエハンター」と呼ばれるようにもなりました。
小さい頃から自然を愛し、ハンターとして活躍されている安田先生。
最近では鳥獣問題が深刻化し、ハンターは動物の駆除を迫られています。
そのため、冬の時期に一番美味しく食べられる動物たちも
夏に駆除をしなければなりません。
安田先生は狩った動物をすべて食肉として利用していますが、
ハンターの方の環境によっては狩った動物たちをやむを得ず処分することもあります。
このような例は、全国的にも少なくありません。
自分で捕まえた動物たちを処分する瞬間、
ハンターの方は「かわいそうだ」と感じるそうです。
同じように野生動物を積極的に殺さなければならない現状に
疑問を感じているハンターは多いそうです。
増えたから殺す、もったいないから食べる。
本当にそれで良いのでしょうか?
猟友会のベスト&帽子(左)、安田さんの獲ったイノシシの頭蓋骨(右)
収穫前の作物が荒らされたり、人が襲われたりと最近話題の獣害問題。
そもそも、このような獣害問題はどうして起こるのでしょうか?
講師の安田先生は、獣害問題の主な原因として以下の2つを挙げました。
1.「野生動物の数が増えた」
地球温暖化によってあたたかくなり、動物たちの生息地や活動期間が拡大したことが報告されています。
これに加えて、ハンターの高齢化によって動物たちを狩る立場の人間も減りつつあります。現在では、狩猟免許所持者のうち60歳を超えている方は6割にも上ると言われています。
このように、自然的要因によって動物たちの活動範囲が広がったことと、ハンターの数が減ったこととによって、野生動物の数が増えたと考えられます。
2.「人間側が「問題」として意識するようになった」
動物たちは、もともとは人間の住む場所の近くで暮らしていました。しかし、開発などによりそれを人間が追いやったため、森の中で暮らすようになったのです。
私たちには「動物は山奥に住む生き物」で「それが突然街に出てきた」という認識がありますが、実は人の近くで暮らしている生き物だったのですね。
このように鳥獣問題の起こった原因について考えてみると、どちらも人為的な理由のように感じられます。
安田先生が尊敬されているという羽山伸一教授も次のように述べています。
「野生動物問題とは、野生動物自身の問題ではなく、人間社会のありようの問題である」
野生動物との共存のためには、人事と思わずに地域の皆で考えることが大事だと安田先生はおっしゃいます。
そのためには「顔の見える関係」での話し合いが欠かせません。
作物を荒らす野生動物を駆除したい農家の方や、動物を愛するハンターの方。そして、自分にはあまり関わりがないと感じている私たち。
顔を見て話すことによって多様な意見を知り、お互いを認め合うことができるはずです。
これからは「今、この時に、野生動物にどうのように直接対処するか?」という近視眼的な話ではなく、
「今後、地域社会としてどのように野生動物とつきあっていくのか」という中長期的な視点で地域の人と一緒に考えていく必要がありそうです。
安田先生の著書「護るために殺す?」
安田先生がカメルーン共和国で見たスポーツハンティングのお話や
日本や世界における狩猟の社会的な位置付けなど、
今回お話できなかった内容についてもたくさん書かれています。
興味を持ってくださった方は是非ご一読ください!
〜次回のサイエンスカフェは?〜
「ナノパーティクルの化学に迫る!」
~持続可能な社会と触媒化学~
九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所の山内 美穂 准教授をお招きして、
ナノパーティクルの化学に迫ります!!
8月26日(金)19:00から、
BIZCOLI交流ラウンジにてお待ちしております。
皆様、奮ってご参加下さい!
お申し込みはこちらから!
(森下)