みんなと"線香花火の不思議に迫る!”を科学する
第66回サイエンスカフェ@ふくおかを開催いたしました!
サイエンスカフェ 第66回のテーマは
「線香花火の不思議に迫る〜江戸時代からの謎が今明らかに〜」
線香花火の不思議な挙動を理論的な観点から説明していただきました!
第66回ポスター
今回もBIZCOLIさんの素敵な空間をお借りしての開催となりました!
今回も様々な方にお越しいただきました。スタッフとしてはいつも嬉しい限りです!
今回の講師は、
九州大学大学院工学研究院航空宇宙工学部門
井上 智博 准教授 です!
1980年福岡県生まれ。航空機や宇宙機に搭載するエン ジンの研究を行いながら、花火も研究しています。 2012年に線香花火の研究に取り組んでから、各地の花 火職人との交流を通じて、すっかり花火に魅せられて います。最近、線香花火に潜む4世紀の謎を解き明かし ました。今年の夏、花火をじっくり楽しむきっかけに なれば幸いです。
左から、
九州大学先端素粒子物理研究センター 九州大学大学院工学研究院 九州大学基幹教育院
吉岡瑞樹准教授、 井上 智博 准教授、 小林良彦特任助教
第一部
第一部では、花火の歴史や面白さ、そして線香花火の振る舞いを数式で表す方法についてお話ししていただきました!
井上先生は航空宇宙工学部門の先生です。何故線香花火の研究をすることになったかと
いうとそれは2012年、ご自身の趣味で線香花火について自由研究を行ったのが始まり
だそうです。当時全くの素人だったそうですが、研究で知れば知るほどその美しさに惹
かれるようになり、すっかり虜になってしまったそうです。今では立派なご自身の研究
となっているのは本当にすごいことですね!!
皆さんは花火の種類がいくつあるかご存知でしょうか。大別すると以下の三つ、
があります。日本で最もポピュラーなのは1の打ち上げ花火でしょうか。大きさや鮮やかさなど、芸術性を競い合うように様々な花火大会がありますね。中でも青森の大曲花火大会と、茨城の土浦花火大会は花火師達の本気の花火大会と呼ばれているそうです!
仕掛け花火は日本ではあまりポピュラーではありませんが、例えばメキシコではカステ
ィーヨ(日本語で白を意味する言葉)と呼ばれる、大きなタワーから発せられるたくさん
の動く仕掛けがある面白い花火があります。そして線香花火は玩具花火に含まれます。
ネズミ花火などもこの仲間です。
日本で花火が始まったのはのは黒色火薬が伝来した1593年ではなく、意外と遅い江戸時代から。戦国時代が終わり鉄砲職人達が食いっぱぐれないために始まった職業とも云えます。花火玉を作る花火師はもちろん、線香花火を作る職人も当時から存在しました。線香花火は0.1gの黒色火薬と和紙から作られますがその中の化学物質として、
の4つの成分が入っています。この中の炭素が空気中の酸素と反応し二酸化炭素が
生成、その際の発熱反応が火花の要因となっております。このように線香花火の研究は
ホフマンや寺田寅彦など様々な分野の科学者によって行われていました。
1. 井上先生は毎秒10万コマの高速カメラを用いて線香花火の火球の動きを捉えまし
た。そして線香花火の火球を飛び出した液滴は、表面の発熱反応によって生じた熱
が内部に伝わり、ガスが発生、急膨張して液滴が破裂し、子液滴に分裂という現象
が、最大8回も連鎖的に発生することが分かったそうです。
2. 先生は線香花火の色の移り変わりも科学的に解明されました。色の秘密は先ほど述べ
た化学物質の融点です。線香花火の温度は火球が溶けることに依存しています。この
温度を測定して色の識別を行いました。
3. 先生は線香花火の挙動を数式化しました!数式で先生は最初の状態から火花の大き
さ、数、距離、そして寿命を表すことに、精度はまだ精密ではないですが表すことに
成功しました!今後はこれらを本当の精度で表すことができるようになることが期待
されています!
現代科学の力で、線香花火の謎が解明されることが期待されますね!
第二部
第二部でも大変多くの方に参加していただき、
花火の内容を筆頭に先生と楽しいトークが開かれていました。
線香花火に関する質問とは反対に、
「何故宇宙工学を専攻したのか」
「好きなことを仕事にしてよかったか」
など人生に関する質問もあり、深いセッションだなぁという印象を受けました。
第67回 サイエンスカフェは、
「再生可能エネルギー量を引き上げろ!」~蓄エネルギーはどうするのがいいか考えよう~
九州大学大学院工学研究院機械工学部門
立川 雄也 助教
を講師にお迎えして、
水素関連技術の説明と共に、環境にいいエネルギーの生み出す方法をお話していただきます。
2019年6月28日(金) 19:00〜21:00
BIZCOLI 交流ラウンジにてお待ちしております!!