第52回サイエンスカフェ@ふくおか 活動報告

サイエンスカフェ

みんなと"眠りを科学する"第52回サイエンスカフェ@ふくおかを開催いたしました!

 

第52回のテーマは

「眠りを科学する!〜睡眠負債、たまっていませんか?〜」

 

今回のカフェもBIZCOLIさんの素敵な空間をお借りしての開催となりました!

 

第52回ポスター

 

今回も大変多くの方々にご来場いただきました!

 

の講師は、

九州大学 芸術工学研究院 元村祐貴 助教です!

生活に欠かすことのできない睡眠の謎について学びます

講師の元村助教授(右)と司会の吉岡准教授(左)

 

 

元村 祐貴 助教のプロフィール

  鹿児島生まれ、福岡育ち。小さい頃は科学館が大好きな子供で、九州エネルギー館や西
  部ガス館、久留米青少年科学館などによく連れて行ってもらってました。大学で人間工
  学に出会い、マンガの影響で脳科学に興味を持ち大学院に進学。東京の研究室で睡眠に
  ついて学び、妻を見つけて福岡に帰ってきました。

〜もしも寝なかったらどうなるの?〜

 

日本は世界でも睡眠時間の短い国と言われています。では人間は睡眠時間が短くなったり、睡眠不足の状態が続くとどうなってしまうのでしょうか。

 

睡眠不足が続くと様々なところで悪影響が出て来ます。例えば集中力が続かなくなってしまったり作業効率が悪くなってしまったりとパフォーマンスの低下が起こります。時には睡眠不足によって重大な事故を起こしてしまうかもしれません。

ではどれだけ寝れば”睡眠不足”にならないのでしょうか?2003年頃にVan Dongenらによって行われた実験では、1日6時間の睡眠を続けた場合、脳の働きが14日後にはなんと2日間徹夜をした時と同レベルになってしまうという結果が得られました。

縦軸が脳の反応速度と横軸が睡眠時間別の日数を表したグラフ

(Van Dongen HP et al. Sleep(2003)より改変)

参照:https://news.yahoo.co.jp/feature/634

またこの実験での驚くべきことは、徹夜を続けたグループでは強い眠気などを自覚していたのに対し、6時間睡眠を続けたグループの多くはパフォーマンスが低下しているのにも関わらず、「眠たい」という自覚がほとんどなかったことです。

このように知らず知らずのうちにわずかに睡眠不足が借金のように蓄積していくことは、
「睡眠負債」と呼ばれるようになりました。

 

〜「寝溜め」はできるのか?〜

 

では休日などにたくさん寝ること = 寝溜めによって睡眠の貯金はできるのでしょうか?答えはノーです。確かに睡眠負債によってたまってしまった借金を返済することはできるらしいですが、残念ながら貯金のようにためておくことはできないそうです。

ではどうすれば睡眠負債を解消できるのでしょうか。ひとつは毎日7時間〜9時間の睡眠をとることです。しかし時間が限られている中で睡眠時間を長く確保することは難しいです。

そこで元村先生は、昼寝をうまくとることをお勧めされていました。この時のポイントは深く寝過ぎないこと(30分以上の昼寝は逆効果)であって、椅子に座って昼寝をする場合には15分、横になって昼寝をする場合には10分程度がベストらしいです。また昼寝前にコーヒーを飲むと良いとされています。

このようにして、うまく睡眠負債を減らしていくことはタスクパフォーマンスの向上であったり病気にかかるリスクを減らしてくれたりと利子が少なめの優良ローンであると言えます。皆さんも自分の睡眠を一度見直してみてはいかがでしょうか。

〜睡眠について語らう〜

第2部の座談会でも質問が活発に飛び交い、大変盛り上がりました。

「夜早く寝て睡眠時間を確保すべきか?」

「睡眠と食事との関係はあるのか?」

「個人に適切な睡眠時間を見つけるには?」

など睡眠に関わるふとした疑問から鋭い質問まで、多くの質問が出ていました。

 

〜次回のサイエンスカフェは?〜

 

粘着・剥離の謎に迫る!

〜くっつくとはがれるを科学する〜

 

九州大学大学院 工学研究院 機械工学部門山口 哲生 准教授を講師にお迎えして、

身近にある接着剤や、接着・剥離のメカニズムに迫ります!

 

2018年1月19日(金) 19:00 から、

BIZCOLI 交流ラウンジにてお待ちしております!!

 

お申し込みはこちらから

 

(伊藤)