第44回サイエンスカフェ@ふくおか活動報告

みんなと”色覚の謎に迫る”第44回サイエンスカフェ@ふくおかを開催いたしました!!

 

第44回のテーマは

「色覚進化の謎に迫る!〜霊長類の色覚の進化と多様性〜」

 

今回もBIZCOLIさんの優雅な空間をお借りしました!

 

ご来場いただいた多くの方々、ありがとうございました!

 

今回の講師は、

九州大学 芸術工学研究院 平松千尋 助教です!

動物が持っている色覚の謎について学びます

 

平松 千尋 助教のプロフィール

 

ジャングルの生活にあこがれ、コスタリカの森でサルを追いかけることにしました。初めは研究の合間にハンモックで読書三昧を目指す真面目な学生でしたが、毎週繰り広げられるサルサパーティーですっかりラテン系の性格になって戻ってきました。

 

 

色覚の仕組みと動物の多様性

 

 人の目には、入射した光に対して反応する錐体と呼ばれる細胞があります。錐体には3種類があり、それぞれS錐体・M錐体・L錐体と呼ばれます。それぞれに異なる視物質が入っていることで、異なる波長の光を感じ取ることができます。色の三原色があるのは、人がこれら3種類の細胞を持っているためです。人以外の動物にも錐体がありますが、鳥類は4種類、一部の哺乳類は2種類と、錐体の種類の数が異なったり、反応する光の波長が異なったりします。ハナジャコはなんと12種類の視物質を持つそうです。

 

霊長類の色覚進化の論点

 

 人には、S錐体の他に、L錐体とM錐体という近い波長のピークに持つように進化した理由について考えます。L・M錐体を手にいれることで、赤い果実を発見しやすくなる他、顔色の変化を検知することで、社会的なシグナルを得れるメリットがある一方で、カモフラージュを見分けにくかったり、色収差によって輪郭がぼやけてしまったりとデメリットも存在します。

 

新世界ザルの色覚の多様性

 

 新世界ザルは、遺伝子の関係で、メスは2もしくは3色覚を持っているのに対して、オスは必ず2色覚しか持っていません。そのため、色覚の違いによる生命活動の違いを研究するにあたって、新世界ザルは対象として都合の良い存在と言えます。講師の方も、約10年前には実際に森へ足を運び、猿の行動を観察していたそうです。結果、新世界ザルの1種であるオマキザルには食料の検出頻度と正確性に違いはあったものの、2色覚と3色覚のメスに採食行動の大きな違いはなく、生存率にも違いがないことが分かってきているそうです。

 

人の色覚の多様性

 

 遺伝子の違いによって、一般の人と見えかたが異なる人が世界に約2億人いるそうです。その中で、多くの人が2色覚や2色覚に近い3色覚ですが、4色覚を持つ人もいるようです。芸術家であるコンチェッタ・アンティコさんはその一人と考えられています。

 

 

〜色覚について語らう〜

第2部の座談会でも質問が活発に飛び交い、大変盛り上がりました。

「紫外線が見えている動物はどのように紫外線を感じ取っているのか?」

「色覚と死因には何か関係性はあるか?」

など数多くの質問が飛び交い、

みなさん有意義な時間を過ごされていました。

 

また、2色覚の動物にはまわりがどのように見えるのかがわかるレンズ

があり、実際にそれを使って2色覚を体験しました。

写真はレンズを通して見る吉岡先生です。

 

 

〜次回のサイエンスカフェは?〜

 

「燃料電池で地球を救えるか!?〜アイデアとその実践」

   

九州大学大学院 工学研究院 機械工学部門 水素利用プロセス研究室

白鳥 祐介 准教授 講師お迎えして

現代社会が抱えるエネルギー問題について

一緒に考えていきます!

 

4月14日(金)19:00から、BIZCOLI交流ラウンジにて開催いたします。

みなさま、是非ともご参加ください! 

 

お申し込みはこちらから!

 

(堤)